(前回のエントリーの続き)
前回は、レコードへの愛情をダラダラ書いたので、今回はデジタルについて。
最近、「レコードが絶対で、デジタルは全否定」というのと、「今時データに対応できないDJは古い」という両極端な意見を良く耳にしやすが、この対立には違和感を感じやす。一部の人を除けば、メディアや有名人の言葉をそのまま鵜呑みしてる人が多いような。
問題はそんなに単純じゃないだろうということで、デジタルについてを自分なりにまとめてみやした。
■前回も書いたように平均すればアナログがデータの音質に勝っているんですが、レコードほど個体差の激しいメディアもないわけで、一概に「レコードなら音質良い」という論法は乱暴す。実際、デジタルの方がキモチ良く鳴る曲も多数ありますし、粗悪なレコードの音なんてどうしようもないです。
周波数に関しても、オーディオ好きなら承知のようになんでもかんでも上から下まで出ればキモチいいというわけではないんす。
ピュアオーディオと違ってダンスミュージックは音質が最終目的ではないんで、操作性や自由度といった他に考慮すべき点もありますし。
■アンダーグラウンドな視点から考えれば、自作曲やエディットをすぐ使えたり、レーベルやディストリビューターを通さずとも自由に発信できるのは大きなメリットっす。アジアのようにプレス工場が少なくレーベルが育ちにくい土壌がある地域は、PCDJ普及による恩恵は大きいはず。ハードルがなくなって全体のクオリティーが低下する懸念もありますが、未開のアーティストに日が当たりやすくなるは嬉しいことかと。宅録の技術も10年前じゃ考えられない程あがってるので、インディペンデントな音源の音質はさらに向上するはず。
■データを掘ってると感じますが、既にアナログよりデータが1~2ヶ月早くリリースされる音源が多くなってきています。DJなら2ヶ月という数字の重みをわかってもらえるはず。データのみで流通する音源も増えており、聴いている感じでは明らかにデータ使用を想定してマスタリングしてあるようなトラックもあります。
■湿気、熱、衝撃などに弱いHDDは耐久性が高いとは言えませんが、劣化なくバックアップが取れる点はデカイです。レコードはCDに比べて耐久性があっても、致命的な傷がついたり盗まれたりした場合はどうしようもできません。日本は地震大国なので、災害も怖いし(ボクは地震がくる度に、レコードなくなったらどうしようと恐怖してやす)。
■「PCDJは楽してるだけ」という意見もありますが、触ってみればわかりますが楽ではないです。買った瞬間から即戦力になるレコードと違い、ファイル管理は面倒だし、エディットとかマスタリングまでするケースも考慮すると結構な苦労です。いじれるという事は、終わりがないということでもあるので。現場でもPCの発熱対策など、トラブル防止に気を配らないといけないので、余計な面倒も多いです。
制作に関してもそうだけど、「PC=ソフトさえあれば誰でもできる」みたいにイメージされやすいですが、やりたいことを実現するにはそれなりのスキルや準備も必要なんす。店頭や他人の家で触ったくらいで見える世界はたかだか知れてるので、ボクは自分で経験してから判断したいす。
■在庫切れのないデータでは掘るという概念は薄れるんで、レコードと同じような選曲するのであれば個人的にはあまり魅力を感じやせん。音質も全然違いますし。なんとなくレベルですが、カオスな世界観を演出するには固体差の激しいアナログが向いてますが、ハメに関しては安定感のあるデジタルの方が良いような気がしてやす。
■んで「オマエはどうなのよ?」って話ですが、ボクは現場のシステムとの相性や所有する音源数という理由からアナログを選択しています。ボクの場合、メディアを横断するプレイはあまり良い結果に繋がらない時が多いので、CDもほとんど使わずアナログオンリーです。アナログの方が、針やアクセサリーなど機材の選択肢も多く、現場で音質の微調整ができるのも大きいです。クラシックなやり方だけどこれが遅れてると思いませんし、今の環境ではこのスタイルが自分にとってはベストなんす。
とはいっても、現場で使ってないというだけで、データはちょくちょく集めてますしし、自宅ではPCプレイを試行錯誤してるんで、今後スタイルが変わる可能性もありやす。ただ、これだけ音源や機材の選択肢が増えた今、自分のやり方を他人に勧めるつもりはありません。各自が自分に合ったスタイルを見つければいいかと。
■ごちゃごちゃ書き殴りましたが、要はアナログにもデジタルにもメリット、デメリットがあって、特にデジタルについてはまだ歴史も浅く発展途上の段階なので、現時点で一概にどちらが良いなんてことは言えないわけす。
アンダーグラウンドとは意思によって成り立つわけで、意思のない選択は怠惰に過ぎやせん。こういう意見書くと反感買うかも知れませんが、「惰性でアナログを使う」のも、「お気楽にデジタルを使う」のも、根本的には変わらないのかなと。
何故レコードなのか?何故データなのか?
音質でレコードというのであれば、他人の言葉を鵜呑みにせず自分で体験したのか?音の良い盤を探したり、針、アンプ、ミキサーといったセッティングを追い込んでるのか?そもそも自分の音に合ってるのか?
データを使うのであれば、レコードにできないプレイをしているか?デジタルに最適なセッティングを試行錯誤してるか?
ボクの周りでも、こういうこと考えながら必死で前に進もうとしてる人は既に出てきてやすが、一方で「デジタル使うと魂売った」とか「アナログ使ってるのは時代遅れ」で思考停止してる意見をたまに耳にするとむなしくなります。
それよりも、移り変わる環境を踏まえて、技術論から精神論まで深い議論がしたいっす。電子音楽は技術と共に変わるものだし、時代が変わろうが大事なのは中身であって容器ではないはずなんで。
■悲しんだり愚痴をこぼすだけでは何も始まらないんで、失うモノが大きい今こそ感傷的ではなく建設的になれればなと。古きものにも新しきものにも敬意を払いつつ、自分の足で前に進めたらいいと思う今日この頃す。
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