オーディオノウハウ5:電源編 壁コンセント の続き。今回はノイズフィルタ付きの電源タップについて。
■ノイズフィルター付電源タップの出会い 数年前にSALのYさんの紹介で、八王子Shelterのサウンドシステムとかに関わってるMさんと知り合う機会があり、このHPのオーディオ記事も読んでくれてたみたいですぐに意気投合して自宅用の電源を作成してもらうことに。 これがかなり良かったのでレビューしときやす。 ■電流の基礎知識 ノイズフィルタを理解するには電気の基礎知識が必要なので、そのあたりから。独学レベルの知識なので間違ってたら許してちょ。 電圧(V)は電気を押し出す力、電流(A)は電気の流れる量、電力(W)は消費した電流量、Wh(ワットアワー)は1時間に消費した電力量、力率は電流の効率量となります。 電気は水の流れに例えるをわかりやすいので、Vは水圧、Aは蛇口の大きさ、Wは消費水量、力率は水量の効率量、Whは1時間当たりの消費水量となり、V x A x 力率=W、W x時間=Whとなります。 んで、家庭に使用する電流には大きく分けて交流(Altanating Current=AC)と直流(Direct Current=DC)に分類されます。雑に言うと、交流は電子の震えによってエネルギーを伝達、直流は自由電子の移動によってエネルギーを伝えます。 Hz(ヘルツ)とは交流電流で1秒間に何回振動したか(電流の向きが変わったか)を指します。100HZなら1秒間に100回向きが変わってます。東日本は50HZ、西日本では60HZになってます。これは明治時代に発電機が輸入された際に、関東にはドイツ製の50HZの発電機が、関西には アメリカ製の60HZの発電機が輸入されたことが発祥のようです。
発電所から送られる電流は非常に電圧の高い交流電流(AC)となり、一定周期で電流の向き(+−の極性)が変わります。長い距離を送るには、交流が費用対効果がよいためです。交流電流では電子はその場でぷるぷる震えながら、エネルギーを次の電子に伝える仕組みです。この原理は、自転車を漕ぐ時に、ペダルの方向は一定周期で交互に変えながら、前に進むエネルギーに変換しているのに似てるそうです。 高い電圧のままでは家電製品は壊れてしまうので、電信柱などの変圧器を何段にも処理しながら最終的には100-200Vで家庭に供給されます。 電子機器に送られる際に直流電流にAC/DC変換されます。最も一般的なAC-DC変換はACアダプター で、この機能はアダプタではなく同様の機能が内蔵されている機器も多数あります。直流電流は乾電池に代表されるような一方通行の電流。乾電池で動かす時にはAC-DC変換器がいらないのは、もともと直流電流だからです。
また、扇風機、洗濯機、洗濯機のような大きなモータ駆動だと、交流の方が都合がよいとされるのでAC/DC変換をせずに100Vのまま使用するものもあります。 ■電流とノイズ問題 さて、基本を抑えたところで徐々に音の話へ。音楽データもスピーカーを震わすためのアナログ信号も全て電気でやりとりします。上に挙げた図では、電流は綺麗な正弦波を描いていますが、現実世界では様々な外的要因によって不安定な波形となります。オーディオ製品に限らず電気製品は理論上は正弦波の電流を前提に作られており、もちろん多少のノイズが入ったくらいで動かないといったレベルの問題はでないようにテストされて出荷されてますが、厳密に言えばパフォーマンスが落ちるケースがあるわけです。以前にレビューした壁コンセント とかをオーディオマニアが、変えるのもそうした理由からです。 出典:http://www.shinwagiken.co.jp/products/5_koutyouha_01.html 発電所から送電線と変電所を経て、家庭に供給されるAC(交流)電流の波形は、安定していません。交流は直流と違い時間とともに向きが変わるの電流なので、他の家や機材の電源をON/OFFするたびに電圧が変動したり、波形もノイズ成分などにより歪んでいます。
ノイズには大きく導体電動(電線やケーブル経由)と空間電動の2種類があり、これら2つを組み合わせて、4通りの伝わり方が存在します。
1.導体伝導 2.空間伝導 3.始め導体伝導、途中から空間伝導 4.始め空間伝導、途中から導体伝導
出典:http://akademeia.info/index.php?%A5%CE%A5%A4%A5%BA (1)意図的に電磁波を外部に放射するもの 携帯電話・無線LAN・リモコン・Bluetooth・コードレス電話…etc. (2)回路の電磁エネルギーが外部に漏洩 パソコン・CDプレーヤー・DVDプレーヤー・USB-DAC・テレビ・電子レンジ…etc. (3)機器の使用時に副次的に発生 冷蔵庫・掃除機・エアコン・洗濯機…etc. 出典:http://www.yung.jp/bony/?p=1660 ■ノイズフィルタとは? 上記で話したようなノイズを減らしてあげるのがノイズフィルター。これはオカルト製品ではなくて、特に工場で使われるような工業機器では当たり前に使われているものです。長岡鉄男が工業用の電線をスピーカーケーブルとして愛用してたり、工場で使われるようなクリーン電源をオーディオマニアも使ったりと、工業系の技術とオーディオは親和性が高いです。 ノイズフィルタついては、http://www.tdk-lambda.co.jp/products/sps/catalog/jp/nf_tech_data.pdf の説明が詳しい。
ざっくりまとめると、いわゆるノイズフィルタは、機器が発生するノイズを外部に漏らすことを防ぐ&外から入るノイズを防ぐことが目的になります。コイルやコンデンサは、並列や直列につなぐとノイズを抑える性質があるので、こういったもの使ってフィルタリングしていきます。
具体的な効果として、ノイズをゼロにすることはできませんが、ノイズを抑える減衰効果があります。オーディオ視点からみれば、フィルタを使うことでより正確な正弦波の電流に揃えていくわけです。 ノイズフィルタなし ノイズフィルタあり ■ノイズフィルタが音質に与える効果 で、実際に音はどうなのよ?という本題へ。Mさんと出会ってから、お互いの自宅に行き来したりオーディオ談義をしながら、実際に僕の使用機材やに合わせてノイズフィルタ付きを制作してもらいました。 結果としては、ノイズフィルタがない時に比べて、クリアかつ見通しの良い音になって大満足。やはりオーディオ哲学が合う人とは話が早い。この差は、耳の良し悪しに関係なく、ブラインドテストでもわかるレベルです。細かい音も聴き取りやすくなるので、DTMでモニタリングやるにもいいですね。かなり気に入ってしまい、今は3セット所有してます。部材はウェブに公開しないでということなので詳しくは書きませんが、毎回、オーダーする度に新しい改造を加えながら、制作過程や理論を説明しながら丁寧に作ってくれて多謝です。
あと、ノイズフィルタを使うと「音が細くなる」という意見をたまにみますが、おそらくこれは雑味がある音→ピントが合ったシャープな音という変化があった際の印象をそう捉えているのかと推測します。太さ=雑味ではないのでフィルタを使ったから音が細くなるというのは間違いとの認識です(少なくとも僕の環境で試した限りでは)。ダンスミュージック特有のトリッピーな中高域は明確に、低域はタイトになるので、個人的には完全にポジティブな結果です。もし、音圧が細く鳴ると感じるのであれば、ピントを合わせた状態で以前に書いたようなサブウーハー とかでやればよいですし。
個人的に感じた効果は絶大なので、下手にレコード針やアンプを変えるのであれば、どんなシステムでも相性に関係なくパフォーマンスをあげてくれるノイズフィルタを推奨します。 僕の場合、ほぼ全ての主要機材をフィルター通してますが、全てではなく特定機材からというのであれば、出音をつかさどるアンプや、ノイズ源となりうるデジタル系(CDJとか)を中心に使うことをおすすめします。DJブースなんか機材が多くてノイズ源に特に多そうだから、入れたらいいんじゃなかろうか。メソペラジックをやってたときは、毎回同等のフィルターをSALさんに持ち込んでもらってました。 数万円でハイグレードな音にしたいのであれば、ノイズフィルタはかなり良い選択肢ですよ。
P.S. Mさんは口コミだけで販売はしているみたいですが、ウェブとかもないのでメールアドレスの開示許可もらいました。興味ある方は連絡してみては。 ikbfzk4hnアットi.softbank.jp ※アットを変えて下さい。
■ノイズフィルター付電源タップの出会い 数年前にSALのYさんの紹介で、八王子Shelterのサウンドシステムとかに関わってるMさんと知り合う機会があり、このHPのオーディオ記事も読んでくれてたみたいですぐに意気投合して自宅用の電源を作成してもらうことに。 これがかなり良かったのでレビューしときやす。 ■電流の基礎知識 ノイズフィルタを理解するには電気の基礎知識が必要なので、そのあたりから。独学レベルの知識なので間違ってたら許してちょ。 電圧(V)は電気を押し出す力、電流(A)は電気の流れる量、電力(W)は消費した電流量、Wh(ワットアワー)は1時間に消費した電力量、力率は電流の効率量となります。 電気は水の流れに例えるをわかりやすいので、Vは水圧、Aは蛇口の大きさ、Wは消費水量、力率は水量の効率量、Whは1時間当たりの消費水量となり、V x A x 力率=W、W x時間=Whとなります。 んで、家庭に使用する電流には大きく分けて交流(Altanating Current=AC)と直流(Direct Current=DC)に分類されます。雑に言うと、交流は電子の震えによってエネルギーを伝達、直流は自由電子の移動によってエネルギーを伝えます。 Hz(ヘルツ)とは交流電流で1秒間に何回振動したか(電流の向きが変わったか)を指します。100HZなら1秒間に100回向きが変わってます。東日本は50HZ、西日本では60HZになってます。これは明治時代に発電機が輸入された際に、関東にはドイツ製の50HZの発電機が、関西には アメリカ製の60HZの発電機が輸入されたことが発祥のようです。
発電所から送られる電流は非常に電圧の高い交流電流(AC)となり、一定周期で電流の向き(+−の極性)が変わります。長い距離を送るには、交流が費用対効果がよいためです。交流電流では電子はその場でぷるぷる震えながら、エネルギーを次の電子に伝える仕組みです。この原理は、自転車を漕ぐ時に、ペダルの方向は一定周期で交互に変えながら、前に進むエネルギーに変換しているのに似てるそうです。 高い電圧のままでは家電製品は壊れてしまうので、電信柱などの変圧器を何段にも処理しながら最終的には100-200Vで家庭に供給されます。 電子機器に送られる際に直流電流にAC/DC変換されます。最も一般的なAC-DC変換はACアダプター で、この機能はアダプタではなく同様の機能が内蔵されている機器も多数あります。直流電流は乾電池に代表されるような一方通行の電流。乾電池で動かす時にはAC-DC変換器がいらないのは、もともと直流電流だからです。
また、扇風機、洗濯機、洗濯機のような大きなモータ駆動だと、交流の方が都合がよいとされるのでAC/DC変換をせずに100Vのまま使用するものもあります。 ■電流とノイズ問題 さて、基本を抑えたところで徐々に音の話へ。音楽データもスピーカーを震わすためのアナログ信号も全て電気でやりとりします。上に挙げた図では、電流は綺麗な正弦波を描いていますが、現実世界では様々な外的要因によって不安定な波形となります。オーディオ製品に限らず電気製品は理論上は正弦波の電流を前提に作られており、もちろん多少のノイズが入ったくらいで動かないといったレベルの問題はでないようにテストされて出荷されてますが、厳密に言えばパフォーマンスが落ちるケースがあるわけです。以前にレビューした壁コンセント とかをオーディオマニアが、変えるのもそうした理由からです。 出典:http://www.shinwagiken.co.jp/products/5_koutyouha_01.html 発電所から送電線と変電所を経て、家庭に供給されるAC(交流)電流の波形は、安定していません。交流は直流と違い時間とともに向きが変わるの電流なので、他の家や機材の電源をON/OFFするたびに電圧が変動したり、波形もノイズ成分などにより歪んでいます。
ノイズには大きく導体電動(電線やケーブル経由)と空間電動の2種類があり、これら2つを組み合わせて、4通りの伝わり方が存在します。
1.導体伝導 2.空間伝導 3.始め導体伝導、途中から空間伝導 4.始め空間伝導、途中から導体伝導
出典:http://akademeia.info/index.php?%A5%CE%A5%A4%A5%BA (1)意図的に電磁波を外部に放射するもの 携帯電話・無線LAN・リモコン・Bluetooth・コードレス電話…etc. (2)回路の電磁エネルギーが外部に漏洩 パソコン・CDプレーヤー・DVDプレーヤー・USB-DAC・テレビ・電子レンジ…etc. (3)機器の使用時に副次的に発生 冷蔵庫・掃除機・エアコン・洗濯機…etc. 出典:http://www.yung.jp/bony/?p=1660 ■ノイズフィルタとは? 上記で話したようなノイズを減らしてあげるのがノイズフィルター。これはオカルト製品ではなくて、特に工場で使われるような工業機器では当たり前に使われているものです。長岡鉄男が工業用の電線をスピーカーケーブルとして愛用してたり、工場で使われるようなクリーン電源をオーディオマニアも使ったりと、工業系の技術とオーディオは親和性が高いです。 ノイズフィルタついては、http://www.tdk-lambda.co.jp/products/sps/catalog/jp/nf_tech_data.pdf の説明が詳しい。
ざっくりまとめると、いわゆるノイズフィルタは、機器が発生するノイズを外部に漏らすことを防ぐ&外から入るノイズを防ぐことが目的になります。コイルやコンデンサは、並列や直列につなぐとノイズを抑える性質があるので、こういったもの使ってフィルタリングしていきます。
具体的な効果として、ノイズをゼロにすることはできませんが、ノイズを抑える減衰効果があります。オーディオ視点からみれば、フィルタを使うことでより正確な正弦波の電流に揃えていくわけです。 ノイズフィルタなし ノイズフィルタあり ■ノイズフィルタが音質に与える効果 で、実際に音はどうなのよ?という本題へ。Mさんと出会ってから、お互いの自宅に行き来したりオーディオ談義をしながら、実際に僕の使用機材やに合わせてノイズフィルタ付きを制作してもらいました。 結果としては、ノイズフィルタがない時に比べて、クリアかつ見通しの良い音になって大満足。やはりオーディオ哲学が合う人とは話が早い。この差は、耳の良し悪しに関係なく、ブラインドテストでもわかるレベルです。細かい音も聴き取りやすくなるので、DTMでモニタリングやるにもいいですね。かなり気に入ってしまい、今は3セット所有してます。部材はウェブに公開しないでということなので詳しくは書きませんが、毎回、オーダーする度に新しい改造を加えながら、制作過程や理論を説明しながら丁寧に作ってくれて多謝です。
あと、ノイズフィルタを使うと「音が細くなる」という意見をたまにみますが、おそらくこれは雑味がある音→ピントが合ったシャープな音という変化があった際の印象をそう捉えているのかと推測します。太さ=雑味ではないのでフィルタを使ったから音が細くなるというのは間違いとの認識です(少なくとも僕の環境で試した限りでは)。ダンスミュージック特有のトリッピーな中高域は明確に、低域はタイトになるので、個人的には完全にポジティブな結果です。もし、音圧が細く鳴ると感じるのであれば、ピントを合わせた状態で以前に書いたようなサブウーハー とかでやればよいですし。
個人的に感じた効果は絶大なので、下手にレコード針やアンプを変えるのであれば、どんなシステムでも相性に関係なくパフォーマンスをあげてくれるノイズフィルタを推奨します。 僕の場合、ほぼ全ての主要機材をフィルター通してますが、全てではなく特定機材からというのであれば、出音をつかさどるアンプや、ノイズ源となりうるデジタル系(CDJとか)を中心に使うことをおすすめします。DJブースなんか機材が多くてノイズ源に特に多そうだから、入れたらいいんじゃなかろうか。メソペラジックをやってたときは、毎回同等のフィルターをSALさんに持ち込んでもらってました。 数万円でハイグレードな音にしたいのであれば、ノイズフィルタはかなり良い選択肢ですよ。
P.S. Mさんは口コミだけで販売はしているみたいですが、ウェブとかもないのでメールアドレスの開示許可もらいました。興味ある方は連絡してみては。 ikbfzk4hnアットi.softbank.jp ※アットを変えて下さい。
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