日曜日は、ついに陸上自衛隊富士総合火力演習(通称 総火演)へ行ってきますた。総火演とは、静岡県御殿場市の東富士演習場で実施される最も人気のある演習で、戦車やヘリコプター、様々な火砲などによる実弾射撃を間近に見る事ができるというもの。
■自衛隊とオーディオの関係は根強く、DIYスピーカーやノアの方舟でおなじみのオーディオ評論家、故長岡鉄男氏のフェイバリット盤に自衛隊の録音が入っているのは有名です。
総火演と言えばナガオカ
演習の爆音は、瞬発力、音圧、定位感などで国内のオーディオ界では最高峰の再生ソースと言われてます。政権が変わると予算削減で、演習自体が中止になったり縮小するかもという噂もあったので、ついに初参加へと踏み切りやした。
長岡鉄男をして「国内盤では最高と断言できる。これを凌ぐどころか迫るものさえ出ていない。」と言わしめたというマニア垂涎のレコード。
「サウンド・ドキュメント 日本の自衛隊」2枚組(33回転)
76年富士総合演習場、野島崎沖、朝霧訓練場にて録音。
その魅力に取り憑かれた長岡鉄男は自ら録音もしてます。FM#FAN別冊『オーディオ・ベーシック』で抽選で100名にのみ配られたらしいCDはプレミア化してます。
陸上自衛隊・富士総合火力演習
1998年盤
01_最大レベルチェック
02_火力戦闘演習開始~敵機攻撃~戦闘ヘリ射撃
03_弾幕射撃~迫撃砲・りゅう弾砲
04_機動打撃
05_特科部隊の攻撃
06_92式地雷原処理車
07_74式・90式戦車の射撃
08_移動行進~演習終了
再発盤も出てやす。
陸上自衛隊富士火力総合演習
1999年盤
※エンジニア小川洋による99年度最新版に、98年度版の音源をプラスした音源
1. ’90式戦車の射撃(再生音量調整用)
2. 1998年総合火力演習/1999年総合火力演習
3. F4ファントムによる対地攻撃
4. 偵察部隊の行動と偵察ヘリ~輸送ヘリによる偵察車両の投入
5. 攻撃準備射撃~対戦車ヘリの射撃
6. ’79式対戦車誘導弾~’90式戦車の射撃~装甲戦闘車の射撃~攻撃前進支援射撃
7. 装甲戦闘車の射撃~戦車小隊の射撃~陣地変更~障害処理支援射撃
8. ’92式地雷原処理車の掃射~突撃支援射撃~戦車小隊の射撃
9. 機動部隊による戦火拡張追撃
amazonにあったコメントがオーディオマニアの自衛隊音源に対するキモチを良く表してた。
『世界でも数少ない実弾射撃の実音, 2006/1/18
By 音楽大好き "munch1891" (岐阜県) -
ジャケットの写真の長岡鉄男氏がとても懐かしく感じる。オーディオ評論家、長岡鉄男が物故してもう5年の月日が流れている。その長岡先生がオーディオ愛好家に最後に残してくれた貴重な実弾射撃のソフトだ。
このソフトをまともに再生させることはオーディオ愛好家に残された最後の高いハードルなのかも知れない。
どんなスピーカーを使ってもこのソフトの瞬発力のある音の再現は不可能だろうし、 その不可能に向かってオーディオ愛好家はいつまでもチャレンジしなければならない、 そう宿命づけられたのかも知れない。 』
■朝4時半に起床して御殿場へ。10時前に会場に入ると数万人の観客がッッッ!ミリヲタとオーヲタくらいしか来ないと思ってたら、大半が家族連れという光景にビックリ。
席に着くなり演習開始のアナウンスが会場に鳴り響き、F2戦闘機が雲の彼方から登場。機体の裏側がハッキリ見える低空飛行で想像以上の迫力に、「こりゃ本気だな」と一気にヒートアップ。
前半は主に兵器の威力を1つ1つ紹介するスタイルで、後半は実戦を想定した模擬戦という内容で、2時間あっという間に終わりました。着ているTシャツが揺れる程の爆風、アパッチの蜂の巣連射、フランジャーがかったロケットランチャー音など、富士山を背景にしたキャンパスに約44トン、約3億6千万円相当の火力がぶちまけられる光景は圧巻ですた。
演習の後は、そのまま展示会。演習に使われた兵器や車両に直接触ったり写真撮影ができますた。展示物の傍には自衛官が立ってるので、ここぞとばかりにミリタリーヲタが嬉々として兵器の性能など質問しまくりw 自衛官もこうした質問を想定しているらしく、ヘリの羽の重さや、戦車の装甲素材までかなり細かい所まで答えていたのが印象的ですた。
ボクも戦車の爆音で鼓膜やられねえのかなあと不思議だったので聞いてみたら、無線のヘッドセットやメットが耳栓のような役割をするので意外に大丈夫らしいです。ちなみにヘッドセットのメーカーはOkiだそうす。誘導弾ミサイルが一発6,000万円ってのもビビりました。
■ウェブで拾ってきたもんですが、実際の雰囲気は以下が参考になるかと。過去や別日のものもありやすが、基本的な流れは毎年変わらないみたい。
総合演習ダイジェスト
総合火力演習の裏側
■とはいえ、「すげ〜、やべえ〜」だけでは終わらなかったのは、事実っす。
小年時代に誰もが通るであろう軍隊や兵器に対する憧れ、圧倒的な音響に対するオーディオ好奇心がくすぐられる一方で、ミリタリープローモションが放つ毒抜きされた非現実感や嬉々としたミリタリーヲタから感じる違和感など、複雑な感情が交差しますた。
一緒に行ったMarcy達も同様のことを感じたらしいけど、共通した意見としては「色んな意味で無茶苦茶しよるな」と。 反撃のないシチュエーション、火力を落として安全性を確保した状態で、ニュースで流れるショッキングな映像に比べたら明らかにショボいにも関わらず、最後の方はちょっとヒイてましたからねw
この演習よりも派手なシーンはメディアでいくらでも見れますが、大型映画館ですら再生不能な音圧の説得力は言葉を超えたものがあります。頭で考えるのでも耳で聴くのでもなく肌で感じるというか。あんだけのボリュームで(当たり前だけど)割れることない低音は、他ではまず体験できないでしょう。今まで知識や想像力で補うしかなかった考え方も、少し変わりますた。改めて音の持つ力を再認識。
■2時間の演習はHDDレコーダーで全て録音していたので、早速家に帰ってから波形を確認。ひゃ~、数万人いた会場の話し声や場内放送がほとんど聴こえないレベルで録音してたのに、余裕でクリップしてる。。自衛隊の録音物には、レベルチェック用のトラックが最初に入っていたり、「再生にはご注意下さい」と注意書きがある理由がやっとわかりました。音すらも暴力的なんだと。
※最前列から数十mくらいから、Roland R09で16bit/44.1kHz wavファイル録音してます。クリップしてない爆発音もあったのですが、あえて"無茶苦茶な臨場感"が伝わるクリップファイルを上げてます。 戦車の型番はメモってなかったので失念す。今回は鑑賞メインだったので、録音状態も適当なんでご容赦を。
戦車砲撃1
試聴
戦車砲撃2
試聴
F2戦闘機 低空飛行
試聴
兵器によって明らかな波形の差が出てるのが面白いですね。特筆すべきなのは、ほぼ直角でピークに達する恐ろしい瞬発力。まさに2つの意味で"アタック"が強い。
■帰りは沼津港へ寄って海鮮三昧。やっぱ旅の疲れには生桜海老。
■帰ってから調べてたら、夜間演習もあるみたいね。一般公開してんのかな?
日本じゃ無理そうだけど、いつかソニックブームも体験してみたい。
■どう捉えるかは各自の自由にせよ、右も左も、オーディオやカメラが好きな人も、ミリヲタも、老若男女問わず一回は行く価値があるかと。色々と考えさせられる体験ですた。オススメです。
【初めて行く人用のメモ】
・入り口で荷物、IDチェックはなし。
・御殿場の駅には遅くても8時過ぎには着いていないとギリギリ。演習は10時から。
・会場はとにかく広いので、ギリギリで入ってもある程度の場所では見れる。ただし全体を見渡せるスタンドは早朝から入らないと無理かも。
・駅からはタクシーで行けば3000円くらい。慣れてる人は、「一緒に乗る人いる?」とかやってるので、一人で行っても乗り合いはできそう。バスの列は殺人的混雑。
・クルマやタクシーで現地に着いても、帰りの足はバスのみ。勝手に電話でタクシー呼ぼうとしても、会社同士で協定結んでるみたいで並ばないと多分無理。バスでもタクシーでも、炎天下で1時間は並ぶので、それなりの覚悟と用意が必要。会場が空く最後まで粘っても待ち時間は同じ。
・現地にある屋台は速攻で閉店するので、食料や飲料水は各自用意すべき。
・日焼け止め、タオル、シートは必須。山の天気は不安定なのでカッパもあった方が良いかも。
<おまけ>
■自衛隊アシッド
■Marcyが売店で買ってたものとは、、、