迷宮から帰還しやした。いやあ久しぶりにパーティーらしいパーティーで純粋に遊べますた。最後までいけるとは思ってなかったので、ボクは金曜日から現地入りしてやしたが、ほぼフルで楽しみますた。多少の緊張感や制約はあったにせよ、レイブとしては充分楽しめました。ああいう状況で笑って帰ってこれたのは奇跡でしょ。
■個人的な感想。
1日目
楽しみにしてたXDBは何も起きない淡々系でいまいち。このノリで3日間はキツイなあと心配してところに現れたのがMLZ。オールバイナルでロングミックスしながらもレコード選んだり、大半の曲がかけてる時間よりミックス時間が長いという絵に書いたようなミックスジャンキーっぷり。音はハメだけど、めちゃくちゃファンキーなグルーヴで、デトヲタっぷりも随所に発揮。初日なのにトップギアではしゃぐ。
テクニックがヒップホップあがりっぽいなあと思ってたら、バリバリのB-boyだったみたい。3日通してボクは一番好みですた。
2日目
恐れていた大雨。特にエコースペースの時間帯はバケツをひっくり返したようなどしゃ降りでとてもフロアに入れず。雨が止むまで、テントに退散。
朝方からフロアに復帰すると、1日目より人が増えててアガる。Mike Parker→Ben Annand→Dave Mothersoleの流れが良くて、Dave Mothersoleのトランシーな音でブチ上がり。ブレイクが弾けた瞬間、フロアが一体となって地面を蹴る。そ〜そ、これこれ☆
3日目
お目当てのOliver Hoが登場。自問自答→ちょっとしたご褒美→自問自答(以下ループ)の変態ミニマル節。にしても、先生問いかけが多すぎるんですけど。。。宿題が多すぎて迷宮に迷い込む。嗚呼ラビリンス。とりあえず、一旦テントに宿題を持ち帰ることに。スパルタ教育だなあ。
テントで横になりながら宿題を片付け気付いたら、Threeとブッチ終わってたorz Threeは良かったみたいだけど、ブッチは機材トラブルで一瞬しかやらなかったみたい。代わりにMathias Kadenがロングセット。これがまたハウシーなプレイで救われやした。Kenny DopeやMarshall JeffersonをLabyrinthで聴けるとはね☆ハウスかかった瞬間にフロアで知り合いをチラホラ見かけたのが微笑ましかったす。みんな待ってたのねw
でも、一番の衝撃はラストのDonato Dozzy。Kadenで出口が見えかけたのでこのまま終わるのかなと思ってたら、再び出口の見えない迷宮へ引き戻される。
恥ずかしながらこの手の音ってレコードで聴いてもよく理解できなかったんですが、ああいう場所で機能するんすね。久しぶりにフロアで「なめてて、すいやせんでした」と大反省。絶妙のミックスと世界観で、3日間かけてフロアに染み込んだGrooveを昇華しながらひっぱるひっぱる。P-34が「これが最後だよね?」と何度も確認してて大爆笑。4~5時間くらいやってはずだけど、フロアの時間軸は完全にねじ曲がってやした。凄いなあ。
音の好みは置いといてヤバさという点だけに限れば、今まで見た中で3本の指に入ったかも。こういう予期せぬ裏切りがあるからレイブは面白い。名のある出演者が終わったらフロアがガラガラになるようなショーケースパーティーでは、絶対味わえないからね。
余韻に浸りながら、終了後も2時間程滞在。何もないフロアをパトロールしたり、屋台で最後の散財して帰路へ。ごちそうさまですた。Move Dがキャンセルだったのは残念ですたが、ボクの中では、Dozzy、MLZが頭1つ抜けて、その次はKaden、Dave Mothersoleって感じですた。良い意味で予想を裏切られ大満足☆
■ボクはダンスミュージックが機能する条件は大きく分けてDJ、音響、環境、規模思ってやすが、この中でも規模という要素は重要で、個を超える集団意識こそ電子音楽の醍醐味なんす。わかっている少数精鋭で生まれるハーコーなノリもいいけど、ハウス、トランス、テクノに分類されるような音楽は、構造上ある程度の規模に向けて発信しないと威力を発揮しないんで。
ただ規模に比例して制約や不純物が多くなるのも事実なので、この落としどころがオーガナイザーと呼ばれる人種の腕の見せどころなんでしょうが、ラビリンスは全体のバランスが素晴らしかったす。
■音響は、Funktion 1のスピーカーを使っていて、レイブとは思えないクリアさと音圧でビビりやした。ステレオ感とかバッチリあったしね。恐ろしいのは最大級の大雨でも、シートすらかけず野ざらしで3日3晩鳴り続けていたこと。どういう構造なのかね。
ミキサーは、EQとミックスの混ざりがアレヒっぽくなかったので、終了後に確認してみたらなんとFomula Sound。現場で使ってるの初めてみますた。
FUNKTION-ONE/FORMULA SOUND
FF-6000
多分、使ってたのはコレ。
Funktion oneとのダブルネーム。
フェーダーはロータリにも変更可能らしいす
Fomula Soundのミキサーは日本で発売されてやせんが、Function 1との愛称や操作性を考えてのセレクトなんでしょう。こだわってるなあ。
アレヒは音質は素晴らしいけど、EQやフェーダーカーブが独特だからプレイによっては制限されるしね。ミキサーはアレヒで一生確定と思ってたけど、Fomula Soundはかなり気になるなあ。EQのノブがカラフルなのって、レトロSFチックでソソられるんだよなあ。横フェーダーが短いのも色々できそう。
■唯一残念だったのは、あれだけのアナウンスがあったにも関わらず、制御不能になってるバカを何人か見たこと。そういう奴と野放しにしてるグループは、この遊び向いてないんだから無理して来なくていいよ。お酒でもなんでもそうだけど、いい歳こいて自分の限界を知らないのは理性のない動物と同じ。いや、うちの馬鹿猫(みーちゃん)でも空気は読めるから、動物以下か。しかも、こういう人に限って大抵記憶なくして学習しないからタチが悪い。色んな意味でダサ過ぎる。
パーティーだから自己解放するのは自由だし、愛らしいバカなら笑って済むけど、節度や分をわきまえない奴は迷惑なだけ。どんな素晴らしいパーティーも一人がヘマすれば潰れることだってあんだし。
ま、全体的に見れば、みんな節度を持ちながら、楽しむところはキッチリ遊んでやした。最終日フロアに満ち溢れてたみんなの笑顔が全てを物語っていたかと。
■タイムテーブルはコロコロ変わってたけど、全体の世界観がしっかりしてるからどこからでも乗車できやしたね。DJ単位のショーケースじゃなくて、各DJが1つの連続したストーリーを紡いでいたように感じたのは、主催者にフロアで遊んだ経験がしっかりあるからなんでしょうね。MLZが3時間近くやるとか、知名度や格でブッキングしてたらありえんでしょ。1フロアってのも1つのストーリーをみんなで共有できるからいいす。
ボクはここら辺の音がど真ん中というわけじゃないんですが、どうやって楽しむのかは充分伝わりますた。日本は箱貸し制度のせいかDJがDJやるためだけのマッチポンプパーティーも多いけど、やっぱ遊びのビジョンが明確なパーティーじゃないと金払う気にはなれんす。フェスやこういうレイブは人が増えてるのに、東京のパーティーに人が入らなくなってるのは、きちんとしたビジョンをお客さんに提示できてないからなんじゃないかなあ。ボクはオーガナイザーじゃないし、DJとしてたいしたプレイができてるわけでもないので、偉そうなことは言えやせんが。。。
あと感動したのは音の出ない時間帯も、みな音が始まるのをじっと待って無音を楽しんでいるところ。ボクは一応携帯スピーカーとiPod持っていってたのですが、とても聴く雰囲気になれず、一回も使いやせんでした。
今の状況だとここ1,2年でクラブシーンは壊滅的になって居酒屋パーティーしか残らないような気が薄々してやすが、まだまだピュアなダンスフロアが残っているとわかって何より。
最近全く遊べてなかったので、しばらく満腹感を味わいながら余韻に浸ろうと思いやす。
リアルコボちゃん
第一話
ダダダダ~
あれ?
出なくなった?
出た~
第2話
また出なくなった
ママ~
このコボちゃん(名前知らんけどw)がとにかく可愛くて、見る度に悩殺。写真はないけど、「カップラーメンちょーらい」と叫びながら、段差を上れずに足バタバタさせてた姿とか反則でした。
■裏ラビリンス
パーティー中には毎日、ふれあいの家という場所で温泉につかってやした。これがまたカオスな所で、温泉の他に宴会場みたいなフリースペースがあって、地元のおじさんやおばさんが集まってカラオケ大会や酒盛りをしてるわけです。しかも、歌は延々途切れず次々に新入りが入ってくる。さすがに50年以上生きてる方々はみなキャラが濃く見てるだけで飽きないので、音が出てない時間帯はほとんどここで過ごしてやしたw
結構な数の人のカラオケを聴いたけど、ボクらの心を鷲掴みにしたのがミスター前橋。ルックス、歌唱力、華、ステージの使い方など他とは一線を画すスター性。カラオケの画面から、異常に距離を取ってた時点で、タダものじゃないと思ってやしたが、これほどとは。
どうやら群馬にはカラオケシーンがあるらしく、大会に向けてみんな真剣に練習してるそうな。ちなみに大会で優勝すると団なんとか先生に教えてもらえるらしいす。知ってて当たり前みたいな顔で説明されたけど、団って誰?w
ふれあいの家温泉館
コレ以外にもSL機関車や民宿があったりとデカイ。
宴会場
続々と集まってくる
シュールな川柳が多数
友達はアラスカへ行けたのか?
パンチ桃子
ラメとパンチパーマ
ダンディ前橋
Mr.前橋を表とすれば裏。通好み。
動きとファッションセンス(シャツイン)が渋い!
Mr.前橋
ミスターの前橋ブルースは絶品
Mr.前橋が唄うと踊りだす人までっ!
格が違う
宴会場はピークタイム
ミスターとデュエット
おばちゃんが女の顔に
ミスター周辺の人と少し喋ってたんですが、残念ながら経営者が代わり来月には閉館してしまうそう。そりゃお茶は飲み放題で、つまみや酒はみな家から持ち込んでたからなあ。クロージングパーティーでは、間違いなくミスターの前橋ブルースで号泣だろうなあ。ちなみに2日目に温泉入ったら、ミスターがいてビックリ。緊張した〜。
ちなみにcx君はダンディ前橋と一緒だったそう。みんな毎日来てるみたいw
注)名称は全て勝手に命名しました。
≪ 続きを隠す今週末は、Labyrinthへ行ってきま~す。
が、既に各地で波紋を呼んでいるように、深刻な状況っすね(知らない人は↓参照)。発表を受けて、ボクの周りでも行かないという決断をした人は結構いたし、mixiやヤフオクではかなりのチケットが叩き売られたそう。各自の判断は痛い程よくわかるだけに残念っす。
にしても、ビッグレイブの中で最もクオリティーコントロールに成功しているだろうラビリンスってのが皮肉過ぎる。フェス化したレイブには個人的には興味が沸かなくなってしまったので、今年は迷宮にじっくり迷いこもうと思ってたのになあ。
デリケートな問題も含むのでみなまで書きやせんが、とりあえずボクは現地に向かうことにしやす。この機会でしか見れないアーティストが多いというのもあるけど、この件は対バビロンやドラッグ是非の2元論に落とし込める単純な話ではなく、シーンの根底を揺るがす事態なんで、結果がどうなるにせよその場にいたいし。
ボクらが聴いてる音楽は、確かにバーでお喋りのツマミなるようなものではないし、さわやか三組な青春サークルのオカズではないにせよ、パーティーという媒体がなければ機能しない以上、社会との共存は必要不可欠なのかと。
パーティーに至る道筋の大半は現実との闘い尽きやす。もっと言えば、理想からの引き算。だから、評論家が知識で武装した理想を口にしたところで、最終的にはパーティーピーポーがか弱い音楽を盾に現実と闘った足跡だけがアンダーグラウンドに通じるとボクは信じてやす。
リスクを避け居酒屋に毛の生えたような(一晩通して何も起きないような)パーティーにはウンザリしてるので、こうやって苦渋の決断を強いられながらも現実と闘おうとする主催者の姿勢は尊敬しやす。
ただ、過去に類を見ない厳しい条件なのは間違いなく、今までのレイブと同じように呑気に捉えられないのも事実かと。もし警告通りの体制で、イベントの最後が迎えられたとしたら、賛否両論あるにせよボクは評価したいと思いやす。
悲しいけど、ボクらが考えている以上に、時代は移り変わってるのかも知れやせんね。
ともかく、これから現地に向かいや〜す。まあ、面子は素晴らしいからね。XDB、MLZ、Deepchord、OliverHoあたりを中心に楽しみたいす。笑って帰ってこれたらいいなあ。
MindgamesのHPより
[重要なお知らせ]
ご存知の方も多いかもしれませんが、この夏群馬県の野外イベントで薬物関係の事件が相次ぎました。それにより、地元の人々や警察は野外イベントの開催に関して非常に警戒しています。本日、川場役所と最終打ち合わせを行ってきました。参加していただく人が安心して楽しんでもらえるよう、今年もセキュリティースタッフが会場の見回りを行います。ただ今年は皆さんにもご協力頂かなくてはいけない点がいくつかあります。
*今回からエントランスで荷物の検査を行うことになりました。法律で禁止されている薬物を発見した場合は、すぐに警察に通報させていただきます。 *イベント参加者は、そしてイベント開催中は違法行為は行わないという内容の誓約書に住所、氏名を記入して頂く必要があります。IDとの照らし合わせは致しません。この書類は参加者名簿として一定期間マインドゲームス側が責任を持って預からせて頂きますが、個人情報の流出が問題になる恐れの無い様、これをどこかに渡すものではないと御約束させて頂きます。但し参加された方が問題を起こした場合に警察から閲覧を求められた場合は拒否はできませんのでご了承ください。 *イベントには役所の監査が入ります。 *制服を着た警官および私服警官がイベントの監視を行います。違法な行為を行った場合は、直ちに警察に連行されます。また、イベント自体が中止になる恐れもあります。 *会場付近には警察による検問が設置されます、必要に応じて車内や荷物をチェックされることもあります。
飲酒運転は絶対にしないようお願いします。飲酒運転で捕まった場合、懲役又は100万円以下の罰金を払わなくてはいけません。運転をされる方は、安全運転を心がけましょう。また帰宅時には、かならずお酒を飲んでいない人が運転して帰るようにしてください。イベント終了した月曜の晩も、キャンプをしていただくことが出来ます。イベント中にお酒を飲んだ場合は、もう一晩ゆっくりして火曜日の朝に会場を出発するようにしてください。飲酒運転は、ご自身だけではなく周りの人にも迷惑がかかります。
私たちオーガナイザーは勿論、川場役所の人々も、イベントが成功することを心から祈っています。法を守り、行動に責任をもって楽しんでください。そして絶対に違法な薬物は持ち込まないようにしてください。
川場には美しい自然や伝統的な生活を重んじている人々が沢山いることをけして忘れないでください。若い女性が薬物使用で亡くなったというニュースを受け、地元の人々は「今までの穏やかな生活が危険にさらされるのではないか?」と非常に心配しています。そんな状況にも関わらず、川場の人々のご協力で、今回も無事イベントを開催できる運びとなりました。
ラビリンスは自然の中で、最高の音楽を楽しんでもらえるイベントだと信じています。年に一度、日常生活ではけして味わえないスペシャルで最高の時間を求め、日本各地から音楽を愛する人々があのスペシャルな場所に集うのです。
私たちにとってラビリンスがどれほど大切か、川場の人々も理解してくださっています。彼らの協力があってこそ、ラビリンスを続けていく事が出来ているのです。川場の人々の期待を裏切らないようどうかお願いします。4日間最高の音楽を楽しむために、そして今後もラビリンスを続けていくためにも、ご協力のほど宜しくお願いします。
ラビリンス・オーガナイザー一同
■多分このエントリ−はとてつもなく長くなる。ボクの心情をありのままに綴るから、人によっては青臭かったり見苦しく映るかも知れない。どう感じるかは自由というのがボクの考えなので、何かを押し付けたり共感してもらうつもりはない。各自が感じたことが等しく真実だと、前置きさせて欲しい。
■ボクにとって、Yellowと聞いてまず連想するのはFrancois Kevorkianだ。NYのBody&Soulに通っていた時期もあったが、黄色のFKの方が全然ヤバいと思っていた。EMMAは他の箱で見るのも(中身は違えど)好きだったが、FKは黄色じゃないとダメだった。
確か随分前のアニバーサリーだったと記憶してるが、この時のFKは今でも忘れない。当時のボクは、テクノやリズム中心の音に傾倒していて、日本に営業に来てお決まりの懐メロを垂れ流すだけのGarage系DJにはウンザリしていた。当然、Garageの代表格であるFKもナメていた。全くノリ気がしなかったが、友人に無理矢理誘われ行く機会があった。ラウンジで何杯かひっかけて帰るつもりが、最終的にはスピーカーに抱きついて踊っていた。衝撃のプレイだった。この時から、またハウスに戻って来た。
だから、クローズを知った瞬間、最後を飾るのはフランソワしかいないだろうと思った。
NYよりNYらしい箱。レコードのラベルでしか触れることのできない鉄人に出会える場所。当たった時もハズレた時も振り幅がでかい。いわゆる大箱。西麻布の地下。都会の水々しさを感じさせる場所。
それがYellowだ。
■当日はFrancois Kに加え、クレジットにないDanny Krivit、Joe Claussell、Laurent Garnierらがかけつけプレイしていた。急遽Kenny Bobienのライブが行われた。
歴代の鉄人達から、 Yellowへ向けたメッセージが録音されていた。Derrick May、John Digweed、Joe Smooth、Kerri Chandler、Mark Farina、Luke Solomon、Blaze、Frankie Knuckles、Carl Craig、DJ kensei、Alex、Carl Cox etc...おそらく20人以上は軽くあった。名前を聞くだけでお腹一杯になる錚々たる面子。中には電話口で録音されたようなものまであった。FKは、これらのメッセージを時折トラックに混ぜていった。
鉄人が並ぶブース。
荒れ狂う人々の熱気。
全てが、どれだけこのクラブが愛されていたかを物語っていた。
Why we dance...
We shall not be moved..
■バーへ続く長い行列で見知らぬ奴と、タイムテーブルを確認し合う。
深い時間帯に汚物にまみれたB2Fのトイレで一息つく。
暗黒の螺旋階段を阿吽の呼吸ですれ違う。
フロアでタバコの火が連鎖する。
今まで当たり前だったことが愛おしく感じた。
■Pureself以来、Foolish Felixに会った。少し前ではEMMAが手を挙げてはしゃいでいた。周りを見渡すと木村コウがいた。Moodmanがいた。Danny Krivitが踊っていた。ケミ子(ボクらが勝手に命名した)をはじめ、Yellowで見かけるおなじみの面々が揃っていた。右後ろ組が復活した。
フロアでは皆平等だ。
■401とつるむようになったきっかけは、このフロアだ。今でこそストイックな素晴らしいDJだが、出会った当時、一緒に出たパーティーで遊び半分にDJをしていたその姿にボクはイライラした。どちらかといえば好きなタイプではなかった。
ある時、何気なく黄色に誘ってみた。半分以上は、社交辞令のつもりだった。確かガルニエだったと思うが、Yellowのフロアで一人踊っていると肩を叩かれた。振り返ると401がいた。伝えたいことが共有できた。
そこからGrooveの謎、"あの感覚"を求める旅が始まり、やがてLIVEraryや今へ繋がっている。
数えきれない出会いと別れがあった。その中には甘美な思い出だけではなく、今でも痛みを感じる傷跡も含まれる。フロアにはあらゆる思いが染み込んでいる。
それがYellowだ。
■幸いなことにボクは、二度だけDJとしてメインブースに立つ機会があった。重いレコードバッグをかつぎ、ブースへと続く高めの段差をまたいだ瞬間は、今でも鮮明に覚えてる。これまで人生で、10年以上願い続けた夢が叶ったのはこの一度きりだ。
いわゆる前座の時間帯だったが、どんなビッグパーティーやレイブよりも緊張した。PAや照明はもちろんバーテンやエントランスに至るまで店員のプロ意識に驚いた。クラブの隅から隅に至るまで東京いや日本のクラブシーンを支えているという明確な自負が感じられた。
あのブースにいたのは合計4時間だったが、忘れられない素敵な時間だった。
おそらく黄色でまわす機会がなくクローズしていたとしたら、DJをやめていたと思う。故郷であり目標であり神聖な場所。
それがYellowだ。
■YellowのPAはボクの同級生だった。とはいえ、彼とは学生時代にはほとんど喋ったことはない。聴いてるジャンルも全く違ったし、顔は知ってるが挨拶する程度の関係だった。
彼がYellowのPAになってから、パーティーの度に少しずつ会話を交わすようになった。ボクがまわした時も横には彼がいた。
やがて学生時代の同士は1人減り2人減り、気付けばフロアに残った者はボクと彼とレミの3人だけになった。Yellowに行く度に、寂しさと妙な連帯感をいつも感じていた。
最期の夜に、彼の手を両手で握り心からありがとうと伝えた。これだけの人の心に軌跡を残す。同世代のどんな出世頭よりも誇らしい仕事をしていると思えた。
■終盤のフロアでAckkyさんと出会った。目の前で繰り広げられる24時間を超えたとは思えない異常な光景を眺めながら、あの感覚について、残された者にできること、これからについて話した。最後は自然と固い握手を交わした。
大きな悲しみには勝てないが、少し元気が出た。
■ありもしないユートピアや美化された過去にすがりつくのではなく、等身大の今を映し出す俗な音楽。
単体では成り立たない不完全で弱い音楽。故に美しくリアルな音楽。
現代の怒りや悲しみ、そして大きな愛を包括する音楽。
Can you feel it?
それがハウスだ。
■踊り子は電子音を体の各部にアサインし、スピーカーから発せられる指令に従う。DJはPromised Landへと繋がる4桁のパスワードを入力し続ける。アクセスが成功すると、長方形のフロアは潜水艦にも宇宙船にも変貌する。ミキサーとアイソレーターを操縦桿に長い航海が始まる。
60hzの重低音がコンクリートの壁にこだまする。Jackと呼ばれるその音の原石は、煙や湿気の充満する空気と混じり、七色の照明に染められることで、初めてGrooveへと具現化する。
建物を震わす。箱が揺れる。だからハウスと呼ぶのだ。
■ある意味レイブより過酷な環境を乗り切るためバッグに詰め込んだ物資はとっくのとうに尽きた。体力が削がれタバコや酒の味すらわからなくなる。
いつのまにかフロアに座り込み意識を失っていた。どれくらい時間がたったのかわからないが、意識を取り戻した時、音はまだ鳴っていた。
It's not over between you and me...
■2回目の朝日を迎えた頃、ついにその時がやってきた。
土曜日の22時から月曜日の朝5時。31時間に及ぶミスティカルジャーニー。もはやパーティーを超越した狂気の沙汰。そりゃそうだ。綺麗に終われるわけがない。現実はそういうものだ。
ブースを見るとFKが泣いてるのか笑ってるのか眠っているのかわからないような顔で、アイソレーターをいじっていた。人の顔にはここまで感情がこもるものか。世界で最も美しい指先、ボクが憧れるアイソ捌きがそこにあった。今までYellowで通ってきて、一番大きな低音を聴いた。スピーカーが泣いた。箱が泣いた。
正直話すと、PCに移行した後のフランソワはあまり好きじゃなかった。もっと言えばDeep Space以降から、あまり興味を持てなくなった(これはボク個人の嗜好だから、人の評価を否定するつもりは全くない)。それでも最後は、ボクにも"あの感覚"を魅せてくれたことが嬉しかった。
音が止まりフランソワが「みんな家をなくしたような顔をしてる」と言った。つたない日本語が心に染みた。
しばらくフロアに腰を下ろし動けなかった。本当に悲しい時、人は無表情になると知った。
こうして黄色い青春が幕を閉じた。
本当に大切なモノに気付くのは、いつでも失った後だ。
終わりの後に始まりがあるのは、理解している。姿、形を変えながらDNAは受け継がれるだろ

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