Slave to the houseレポ。
■この日は平日という上に、30年に一度という大型台風が直撃し、日本全土が大雨という「パーティー日和」の対極にあるような夜。急いで帰宅するリーマンの列にレコードバッグを引き摺りながら逆行していると、「何やってんだろうな~」とさすがに思う。
正直お客さんは一人も来ないと予想してたけど、フロアに入ると少ないにせよ踊っている馬鹿がいてアガる。やってる側が言うのもなんだけど、好きだねえw
■深夜になると地下にあるエントランスの扉も空けられないほどの大粒の大雨。建物に当たる水の連射音がちょっと怖い。
次第に、階段から伝わった水が地下2Fの床を濡らし始めるわ、バースペースの壁からはマーライオンのように滝が吹き出てくるわと、スティーブンキングの小説にありそうな外界から突如隔離された非日常的な状況に。ガキの頃に、雷が鳴ると畏怖しながらも「何か起こるんじゃないか」とワクワクしたものだけど、それに近い緊張感と期待感。
こんな自由のない閉鎖された環境で"失われたハウス"(テックとかミニマルとか冠のつかないやつね)を、何時間も流すってのは、まさにSlave to the houseだなあと内心ニヤニヤ。1年近くやってるSTHの中でも最もコンセプトを具現化した夜だったんじゃなかろうか。ああいう日に楽しんでくれたお客さんは、頭のおかしい音楽好きだと思うから今後も大事にしたいす。
■こういう日でも、DJが手を抜いてなかったのも良かった。特に、ゲストのChidaさんは、和製GarageとかDetroitのような懐古主義に依ることもなく見事な90'sのアングラハウスセットを披露してた。チダさんとは、何度か一緒にやってるけど、毎回テーマに合わせた違うセットでハメてくる印象がある。嵐の日でも「いつもの〜」みたいな奴じゃなくて、コンセプトに合わせたセットを組んで来る姿勢が素晴らしい。この日は、新譜2枚しか持ってこなくて、旧譜を磨くのに時間がかかったそうw 今時、Blaze/Let's get jazzyとかLou Lou/Freekyとかで踊れるパーティーなんてまずないでしょ。Floppy soundsとかTodd Terryも久しぶりにフロアで聴いた。気になる謎レコードもたくさんかかってたなあ。
DJもある程度やってくると毎回似たような手癖に落ち着くというか得意なことしかやらなくなってくるもんだけど、やっぱ引き出しは多さにこそ経験とか技術の差が出るなあと自戒したりもして。
■何度か書いてるけど、どんな遊びにもある程度の制約は必要っすね。特に箱なんて、タバコ臭いわ、人は多いわ、トイレは汚いわ、酒はマズイ&高いわ、反響&爆音という原音再生とは程遠い音響だわ、安らぐスペースはないわと、不快・不健康の極地だけど、そんな非日常空間を集団で何時間も共有するからこそ見える地点もある気するわけす。優劣の問題ではないですが、これは出入り自由の安心感や野外の解放感で得るものとも、また別の何かがだと個人的には思ってやす。
あと、週末のパーティーは音楽性だけじゃないマーケティングな動きも求められるけど、平日だと多少は緩和されてストイックにできるというのもわかった。やらせてくれる限りは、今後も地道にやってきたいなあ。
とにかく、あんだけタフな環境で最後までパーティーができたってのは、自信になったしまた少しクラブが好きになりました。
来月の開催は、11/4(水)です。お楽しみに★
コメント:
ChidaさんのブログでChidaさんの時間帯の音源が聴けるようです。是非~☆
http://dancaholic73.blogspot.com/2009/10/slave-to-house.html
YAMADAtheGIANT | 2009年10月15日 16:01