安息の日 «« »»2much Crew 1st Album

right.gif EMMAインタビュー

イエロー閉店後の8月深夜に放送されたJ-Wave 25 "TRIBUTE TO SAPCE LAB YELLOW" でのYellow クローズに対するEMMAのインタビューテキスト。

□「そうですね、長く、長い時間やれたんで、一人でその、自分のやりたいように一晩を作っていくという、それに適した場所でもあったし、やっぱりその、古くからこう、続いているその伝統というか、正統的なものとか王道というかね、そういうハウスを伝えられる少ない箱でしたし。それの中でのハウスって言うか、ダンスミュージックというかそういうものをすごく分かりやすい形でお客さんに伝えられる箱だったんじゃないかなと思いますけどね。その王道っていうのは突飛なこととかじゃなくて、普通にダンスをしてパパッと帰るような箱でもあるし、一晩飲んで騒いで朝までいて帰るとかいう箱でもあるし。あの、単にこう、音楽でみんなが集まるっていう感じの箱ではないと思いますけどね。そのYellowに行くっていう、箱に行くってのが、普通だったんじゃないかと思いますけど。クラブってある意味、こう、あの、単体の芸術作品ではないじゃないですか。もうちょっと総合芸術的なものがあるから、それでいてエンターテイメントの枠に入っているものであるから。
Yellowって名前でやったからってうまく行くとは限らないですよね。ジェスチャーゲームみたいなもんで、これをこう誰かに伝えても「うん、うん、うん、うん」って頷いてても本当にどうかって確かめられないじゃないですか。そこの本当にどうかって部分は。だからこの関係性って成り立っていると思うから、その、次のステップに行こうって二人で思ったとしても、違う方向かも知れない。うん。だから、それをなるだけビジョンを同じような人たちが集まって、同じところに向かうというのであれば、上手く行く可能性は高いですよね。うん。いくらものすごく才能のある人が引っぱってこうと思ってもその人に、それを、スタッフたちをコントロールする力がなかったら、いくらその人に才能があっても多分無理だし。だからその中で面白いものをやろうと思ったら、やっぱりビジョンがはっきりしていない限りは、いくら面白いことやろうやろうって言っても、みんな面白いことはみんな期待しているわけで、面白さの中身なわけですよ。クオリティーだったりとか。ただ面白い面白いって言ってやっているものが実は壊しているだけのものだったりするってのが見てて思うから。できりゃ大事に、あの、復活することよりも重要なのはクラブを大事にやっていくこととか、自分のパーティーを大事に作っていくことの方が重要なんじゃないかと思いますね。ただそれは、みんなの行くって言うか、僕の行き方も含めてどうやってやって行けばいいかっていう。今の状態じゃなく何を目指すかじゃないですか。それを、こういうことが無くても次に進もうっていう風に僕らが思わないといけないんだと思います。そうじゃないと、やってきたことが何にもならないんじゃないかなっていう。あきらめちゃうのは簡単だから、この気持ちをどうやって持続させるかっていう、次に次にってならないと。ただ、行け行けドンドンじゃなくて、次に次にっていうふうに考えていかないと。責任がありますから、やってきた。だからそれを伝えていければいいと思いますね。 」
BGM: SUGARHIGH / KingUnique

■知識や経験の引用で武装せず、突き刺すようなことをズバズバ言っちゃうあたりがいかにもEMMAらしい。BGMとか世間の目を気にしてないあたり含めてね。真理に迫るパンチラインもチラホラ。特にこの部分↓

『面白いものをやろうと思ったら、やっぱりビジョンがはっきりしていない限りは、いくら面白いことやろうやろうって言っても、みんな面白いことはみんな期待しているわけで、面白さの中身なわけですよ。クオリティーだったりとか。ただ面白い面白いって言ってやっているものが実は壊しているだけのものだったりするってのが見てて思うから。』

今のシーンに潜む問題点を単刀直入に言っちゃってる。金を払って知り合い呼べば誰でもパーティー(もどき)ができちゃう時代だからこそ、クオリティーを求められると。何を持ってクオリティーとするかは人それぞれにせよ、やってる本人達だけが楽しけりゃ何でもアリってわけじゃない。正にその通りだし、身に染みる言葉っす。
 言葉遣いは軽いけど、日本のクラブシーンが黎明期だった頃から、ずっと一線にいる重みがありやす。

■ダンスミュージックは、パーティーという器とサウンドシステム、DJ、客etc..といった要素が揃って初めて機能するわけで、環境に左右される儚さこそが他ジャンルにはない魅力です。同時に、環境を成立させるためには音以外の様々な面倒や障壁があるわけす。
 例えば、サウンドシステムを構築するには知識や資金が必要だし、パーティーを開くにはオーガナイズという作業が発生するし、優秀なスタッフや店の協力がないとまわらないし、時には天候さえ味方につけなきゃいけないように。
 EMMAが言いたいのは、楽しいという感情は文字通り"楽"なだけであって、直情に身を任せるだけではパーティーは成立しないということだと思いやす。好きなことをやってれば楽しいのは当たり前で、器を用意するだけなくいかに満たすかの方が本題だと。好きだからこそ、何かを犠牲にしたり苦労できるし、見返りを期待することなく技術や才能が集まってくるわけで。 演者面した論客や青春泥酔者が理想を語るのを稀にみるけど(幸いボクの知ってる人にはいないけど)、パーティーは現実との闘いだし泥臭臭いものを磨いていく行為。だから魅力的なんす。

■何度か書いてるけど、ボクはパーティーに人の繋がりをあまり求めてやせん。パーティーを通じて育まれた絆は、いくつかある結果の1つというだけで、とても大切にしてるけど目的じゃないんす。パーティーの一次的な価値はサウンドであるべきで、DJとして誠実であろうとすれば内容で返すしかないないから。少なくともボクが客としてクラブに通う最大の理由は、おしゃべり以上に雄弁な目に見えないストーリーの1点です。音以外の二次的要素がいかに豪華でも、あくまでおかずであってメインディッシュには成り得ないし。
 ボクが自分でオーガナイスしたりクルーに入ったりしないと決めてるのは(唯一、深く関わっていたLIVEraryやPureselfは現在休止中)、自作自演や馴れ合いでDJするようになると内容を冷静に判断できなくなるのが怖いからす(もちろんこれは個人の資質が関係してるだけであって、バランスを取って器用にやってる人は尊敬してやすよ)。
 前に友人DJと「馴れ合いによる高揚感とクオリティーは別」みたいな話をしてたけど、まさにこのインタビューの内容が的を射てるんだよなあ。友情は糞みたいな事やっても修復可能だけど、パーティーはオープンな場だからお客さんに何かを伝えられなければやる意味ないし。実際は、成功するのは年に数回あるかないかで大半が失敗に終わるにせよ、自らハードル下げてもがきもしないで敗れるのは一番悲しい。
 下っ端レベルの人間でも共感できることを第一線の立場から言えるのは、EMMAがつくづく現場の人っていう証明なんでしょう。

■インタビューでも同じこと言っててるけど、もうYellowのようなクラブは日本には現れないだろうし、仮に同じような箱が復活ししても別物として扱うのが、過去にも未来にも対する礼儀です。
 ただ、イエロークローズ時に色々書いたように(EMMAHOUSE Finalクローズ)、前に進むことと過去を否定することは同義ではないので、好きだった感覚は忘れないようにやってきたいす。これからボクらの居る界隈はどんどん厳しくなっていく気がしやすが、ブースに立たせてもらえるうちは最大限クオリティーを追求していきたいす。

ま、やっぱりEMMAは素晴らしいということで。世間の評価や客層で食わず嫌いしてる人は、一度体験してみて下さいな。

コメント:

こんにちは。
感動しましたので、思わず書き込みです。
私は彼と20年来の友人で、どうもあの人は誤解されやすいので、ここまでわかっている人がいる、ということがすごく嬉しくて、おもわずコメントさせていただきました。きっとYAMADAtheGAINTさんも良いDJなのだろうな、と感じます。

>KISA
コメントありがとうございます。20年来の友人とは凄いですね。

DJがプレイ以外で語るのは邪道だとは自覚してるのですが、カッコつけるだけでは中々伝わりにくい世の中になってしまったので、自分の考えを整理する意味も含めてゴタゴタと書いてます(笑)なので、見知らぬ方が自分の好きな感覚を共感してくれるのは、本当に救いです。

確かに、誤解されやすいDJですよね。実際、この界隈に長く居る人でも、きちんと体験してから判断を下している人は多くない気がします。万人に受けるDJなんていないので好き嫌いはあるにせよ、シーンの中で、1つのビジョンを提示し続けているDJの一人であることは間違いないかと。

あれほど矢面に晒される立場にいながら、一切ブレたり媚びたりすることなく、浮世な世界で結果を出し続けているのが、夜遊びの本質を理解している証拠ですよね。こうやって周辺に賛否両論が渦巻こうが、おそらく本人はどうでもいいと思ってるフロア至上主義な感じとか、たまらないです(笑)
 DJとしても客としてもボクは一番惹かれる存在です。

実際のところ、
例えばファンがたくさんいても、
そういった彼の姿勢とか本質の部分を理解している人は少ないんじゃぁないかな、と感じます。
でも、まぁ、そこから、「知る」というところへ
進んでいってくれたらよいのですが。
フロアのみんな、もっともっと音に貪欲になって、とことん遊んで欲しいなぁと思います。
YAMADAさんのDJも機会があったら
是非きいてみたいです。
(いまは東京在住ではないもので。)

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