オーディオノウハウ2:アンプ編からの続き。
■低域依存症
スピーカーQuad 11L2とエルサウンドのアンプが揃ったことで、人並みに鳴らせるようにはなったものの、どうしても気になる問題が1つありました。現代音楽やカントリーのような生音中心で低域がそこまで強調されていない音楽の再生は全く問題ないのに、低域の強調されたダンスミュージックを聴くと、キックのアタックという腰の部分がキモチ物足りない。かといって、低域の迫力が感じられる程度まで音量をだせば近隣から確実に苦情が来る。
料理と同じであらゆる音楽には旨味成分が存在していて、その差がジャンルの差として認識されます。わかりやすいのが強調される帯域の違い。例えば、日本のポップミュージックではラジオやテレビなどでプレイされることも想定して、ボーカル域の中域が聴きやすく前面にでるようにマスタリングされているとか。どんな音楽でも表現できるオーディオシステムが非常に難しいのは、ジャンルごとに旨味成分が異なるためです。当然、リスナーの耳も好みのジャンルに偏っていくことになります。
ダンスミュージックではクラブフロアでの箱なりを一つの基準とし低域の迫力が最優先されます。この箱なり基準ってのがピュアオーディオには概念で非常にやっかい。おそらく僕らのようなダンスミュージック界隈の人間はほぼ100%低域依存症です。例えば、ボクがオーディオマニア系の人のシステムを聴いていると低域物足りないなとなりますが、彼らからしたら「パーティーピーポーは、ブンブンした音ばかりきいてるかるな」となるわけです。大事なのはどちらが正解ではなくて、そのジャンルにあわせた調整ができるかということ。
一般的な音楽鑑賞においてはQuad 11L2が低域スカスカというわけでは決してないのですが、低域が強調されたシステムに慣れると物足りない。一方でダンス向きとされる低域再生の得意なスピーカーにすると、Quadクラスの中高域の繊細な表現はまずできないでしょう。ボクの場合、このジレンマをサブウーハーで解消できたのでまとめておきます。
◼2wayウェイスピーカーの限界
サブウーハーの必要性を知るには、スピーカーの構造を簡単に理解しておく必要があります。スピーカーにはコーン一発で、低域、中域、高域を鳴らすフルレンジ型と、帯域ごとに複数のコーンでわけて鳴らすマルチウェイ型の二種類に分類されます。モニタースピーカー含めて多くの一般的なスピーカーは低域、中域で一発、高域で一発の二発で鳴らす2way型です。B&Wのトールボーイのように5wayなんてのもあります。なぜ、マルチウェイが一般的かというと、低域と高域の再生には相反する物理特性が求められるためです。具体的には低域の再生にはパワーが、高域の再生にはスピードがコーンに求められます。
下記ページの説明がわかりやすいです。
http://www.phileweb.com/magazine/audio-course/archives/2007/07/26.html
http://www.phileweb.com/magazine/audio-course/archives/2007/07/12.html
■余談だけど、スピーカーの呼称が動物の鳴き声っての知らなかった。スピーカー"のユニット名は、低・中・高をそのままLF(ローフリケンシー)ユニット、ミッドレンジユニット、HF(ハイフリケンシー)ユニットなどと呼ぶこともありますが、これはちょっと味気がありませんね。そこでオーディオファンの間では古くから、動物や鳥の声になぞらえた愛称で呼んでいます。ウーファー(Woofer)、スコーカー(Squawker)、トゥイーター(Tweeter)がそれです。低音はオオカミや犬が低くうなる声に似ているので「ウーファー」、中音は鳥がギャーギャー鳴くことから「スコーカー」、高音は小鳥のチッチッというさえずりで「トゥイーター」というわけです。"
■2wayスピーカーの構造を理解すると、ダンスミュージックの旨味成分である超低域の再生が満足なのかという疑問にぶちあたります。モニタースピーカーしかりQuadしかり家庭用のスピーカーは、小さい筐体です。DTMやってる人ならスーパーローが家と現場で鳴らしてくみるとイメージと異なってたという経験は誰しもあるはずですが、これは超低音再生にはパワーがいるため、小さなモニター・スピーカーでは再生しきれないためです。Quad11L2もオーディオ用の2wayスピーカーになるので、おそらくスーパーローは足りてないという仮説のもと、サブウーハーを足してみることに。
ということで、次回は サブウーハーの導入編。