■深夜になると地下にあるエントランスの扉も空けられないほどの大粒の大雨。建物に当たる水の連射音がちょっと怖い。
次第に、階段から伝わった水が地下2Fの床を濡らし始めるわ、バースペースの壁からはマーライオンのように滝が吹き出てくるわと、スティーブンキングの小説にありそうな外界から突如隔離された非日常的な状況に。ガキの頃に、雷が鳴ると畏怖しながらも「何か起こるんじゃないか」とワクワクしたものだけど、それに近い緊張感と期待感。
こんな自由のない閉鎖された環境で"失われたハウス"(テックとかミニマルとか冠のつかないやつね)を、何時間も流すってのは、まさにSlave to the houseだなあと内心ニヤニヤ。1年近くやってるSTHの中でも最もコンセプトを具現化した夜だったんじゃなかろうか。ああいう日に楽しんでくれたお客さんは、頭のおかしい音楽好きだと思うから今後も大事にしたいす。
■こういう日でも、DJが手を抜いてなかったのも良かった。特に、ゲストのChidaさんは、和製GarageとかDetroitのような懐古主義に依ることもなく見事な90'sのアングラハウスセットを披露してた。チダさんとは、何度か一緒にやってるけど、毎回テーマに合わせた違うセットでハメてくる印象がある。嵐の日でも「いつもの〜」みたいな奴じゃなくて、コンセプトに合わせたセットを組んで来る姿勢が素晴らしい。この日は、新譜2枚しか持ってこなくて、旧譜を磨くのに時間がかかったそうw 今時、Blaze/Let's get jazzyとかLou Lou/Freekyとかで踊れるパーティーなんてまずないでしょ。Floppy soundsとかTodd Terryも久しぶりにフロアで聴いた。気になる謎レコードもたくさんかかってたなあ。
DJもある程度やってくると毎回似たような手癖に落ち着くというか得意なことしかやらなくなってくるもんだけど、やっぱ引き出しは多さにこそ経験とか技術の差が出るなあと自戒したりもして。