Ableton Live 7 «« »»Deep Space

right.gif Y

暗い話や愚痴はこういう場所には書きたくないんだけど、今回は許して下さい。過去最長のエントリーかもしれやせん。

■Yellow閉店(まだ数ヶ月ありますが)のニュースが駆け巡ってから、色んな人と語りました。休日の午前中から複数の友人達から「もうダメポ・・・」な電話やメールがきて事態の深刻さを改めて感じやした。

4つ打ちに取り憑かれた東京の人間にとって、
ポストGold世代にとって、
Yellowは良心であり故郷でした。

ハウスというコンセプトを貫き続け、それを表現するシステムとコンテンツを備えた場所。大衆性とアングラ性を備えた絶妙なバランス。DJバーでもディスコでもライブハウスでもない純粋な"箱"。

もちろんたくさんいってれば、ハズれるパーチーだってあるし、良い思いでだけじゃなく悪い思い出もありやす。アングラな場所や居心地の良い空間は、他にもあります。
 それでも、ここ10数年の間、東京のクラブシーンの中心に存在したのはYellowだったと思います。実際、六本木、麻布界隈のクラブ模様がどれだけ目まぐるしく動いても、黄色だけは変わらないという安心感がみんなにもあったはず。22時を過ぎれば、今日もあの道に黄色い看板がポンとあるという。他に遊びに行く時でも、しばらく篭ってた時期でも、Yellowのスケジュールだけは頭の隅に入れてやした。

■「地下で頑張るからメジャーな大箱がどうなろうが関係ない」だとか「たいして通ってないから別に困らない」って意見も耳にしますが、Yellowが閉鎖するということはそこらのクラブが潰れる程度の話じゃないんす。
 ああいう老舗箱がデンと真ん中にあるからこそ、小箱の居心地の良さだったりD.I.Y.パーチーの開放感も際立つわけす。王道があって初めてカウンターは成立しやす。その中心がなくなれば、何を基準にすればいいのやら。。。

小箱でしか成立しないこともあるように、大箱でしか成立しないこともたくさんありやす。
 小箱は居心地が良いし、自由に遊べます。気に入った場所さえ見つければ、ハズレも少ないです。
 逆に大箱は、規制も多いしなにかと面倒臭い。大金払っても、外れる時が大半。それでも、音、光、人、建物が一体になる肉体的なミラクルは大箱でしか起こり得ないんです(精神的なミラクルは小箱の方が当たるような気がするけど)。
 確実なパーチーがある時に、みんなと違う場所に行くと「わかってない」烙印を押されがちですが、安牌よりもミラクルを求めたい時だってあるんす。数年に1回あるないかの大波って、予想を裏切った時に訪れるし。ボクにとって、大箱はギャンブルみたいなモンす。

それにハウスのようなビッグルームミュージックは箱の設備に大きく左右されるので、良質の大箱が減るということはジャンル自体が衰退していく危険性がありやす。

建物全体が震える箱鳴り、
変幻自在の照明、
ブレイクの瞬間にあがる無数の手、
連鎖するタバコの火、
ぬるくなったエヴィアンを分け合う感覚、
ファ~系 etc...

DJがうまいとか曲が良いとか、そういう次元とは違った箱が持つ非日常性。都市で生きる人間にとって、週末に訪れる貴重な"ハレ"。

イエローがなくなった後、こういうクラブ感をどうやって伝えていくんでしょうか。mixiやYoutubeじゃ絶対伝わらない空気だし。
 実際、都内でみんなが認めるクラブって、もう黄色だけでしょ。例えば、ボクはAgehaが好きだと公言してるけど、いわゆるな人達が嫌う理由もわかる。最もバランスの取れた純粋なクラブは、やっぱりYellow以外残されてないと思ふ。

若い人はどんどん遊ばなくなってるみたいだけど、ますますクラブ離れが進みそう。。。パーティー単位で頑張る人はいたとしても、大箱の衝撃なくしてクラブという文化は理解できないだろうし。 

※もちろん、ボクは小箱も好きですし、大箱が絶対って言ってるわけじゃないですよ。どっちが上とかではなく、両方のバランスで初めてお互いの良さが成り立つということが言いたいんす。

■DJやトラックメーカーも、Yellowを目標に頑張ってた人は多いはず。僕自身も憧れの場所でした。
 Yellowのブースは神聖な場所で、ボクは遊びに行って入れそうな機会があっても足を踏み入られませんでした。なんか畏れ多い気がして。
 だから、初めてDJとして中に入った時の感動は、いつまでも忘れやせん。スピるのが嫌いなボクですら、様々なDJやパーチーの想いが染み込んだブースを目の前にして、オーラが匂うんじゃねえかと感じたくらいで。
 良い歳した大人が、こんな子供みたいなピュアな感情を覚える場所って他にないす。

■データ主流になり、レコード屋が次々に閉店・縮小していく中、東京は「世界有数の音源所有国」という唯一のアドバンテージを失いつつありやす。
 何をやるにも規制は厳しく、金もかかる。家はおろか、箱や野外でも満足に音を出せない環境。苦肉の策で生まれた箱貸し制度も、社交性ばかりが優先される不毛なパーティーシーンを生み出す始末。前にword of mouthと「東京のパーティーには強度がない」って話をしてたけど、本当にそう思う。先日クローズしたマイクロオフィスは斬新なコンセプトで音質も好きだったけど、よくよく考えればオフィスですら踊らざる負えない東京の環境は異常す。

ボクは、この街が好きかと言われれば即答はできないし、今は嫌いな部分が多いと思う。それでも、この街で生まれて育った人間だから、「東京はつまらない」と断定されると、複雑なキモチになりやす。帰る田舎なんてないし、慣れ親しんだ街には誇りを持ちたい。

だから、東京のクラブ文化を代表する黄色が潰れるのは、本当に悔しくてならない。歴史的に重要だからとかではなく、誇れるものがまたこの街から消えることが。

■ここ最近の流れを見ると、ボクらの遊び場はあと5年ももたないんじゃないと本気で感じてます。一部は残るだろうけど、週末に一同が集うような大きなうねりはなくなっていき、小さなサークル単位でこじんまりしていくんじゃないかと。。。
 もう狭い畑の中で牽制したり、シーンを斜め上から俯瞰して腕組みしてるような場合じゃないと思う。不感症を装って開き直れれば楽だけど、思い入れが強すぎてボクにはできません。

どうなるにせよ、6月には1つの青春が終わりを告げやす。
心に空いた穴をどう埋めたらいいか、まだわかりません。

コメント:

>東京のパーティーには強度がない

語弊があるので、補足すると(笑)何を標榜してるかにも
因ると思うんだよね。少人数でもミラクルは起こり得るし
それは自分自身でも実体験としてあるわけだから。

だから、ソフト面の問題というより、ハード面の問題だよね。
強度ってのは箱含めての一貫性というか、DJの問題じゃなくて
やっぱし根づきにくい環境=東京って所に帰結するのかも。

なんか最近、暗い話が多いよな~まぁ楽しくやりましょうよ!!!


社交性ばかりが優先される不毛なパーティーシーンを生み出す始末。


パンチラインw

>ヒゲ男
womが言いたいことは全く同じだと思うけど、語弊がある書き方してたらゴメソ。文字は難しいな。

小箱でも生活を変えてしまうようなミラクルは起きるのは知ってるんだけど、大箱のソレとは全く別の種類ということが言いたかったんす。大箱に小箱的な楽しさを求めるのはお角違いだし、その逆も然りというか。どっちが優れてるとかじゃなく、表と裏なだけ。

>ソフト面の問題というより、ハード面の問題だよね。
そそ。今は、ソフト(DJ、客層、思想etc...)に比べて、ハード(機材、空間、技術etc..)が軽視されてる気がするから、意図的に大箱よりに書いてみたけど。技術だって、つきつめたら1つの思想だかんね。
 んで、ソフトとハードのバランスが最もとれてたのが都内ではYellowだと自分は思う。

あと、今はパーティーやDJにくっついていくのが主流だけど、昔は箱を目当てに遊びに行くことが今より強かった気がす。とりあえず知らない音でも入っちゃおうとかさ。人が入ってなくてもレギュラーパーチーはずっと続いたりして、箱の色が強かった。Yellowもそんな箱の1つだった。
箱貸しばっかになってから箱の色も薄れたし、ネットで下調べするから冒険することもなくなった。
 懐古主義でに浸るつもりはないけど、そういう文化がなくなるのは単純に悲しいなあと。まあ、遊び場で昔話しててもダサイだけだから、時代にあった新しいスタイルを見つけるしかないんだろうね。

>根づきにくい環境=東京
前にこのネタで一晩飲んだよねw 選択肢が過剰にあるし、地元民という概念も薄い街だから難しいよね。だから、ローカル意識が高くて結束力がある地域は羨ましい。
 ただ、外から勝手にやってきて「東京ってつまらねえなあ」とか言われると、住んでる身としてはやっぱ癪に障るw かといって、言い返すどころか共感してしまっている自分にさらに腹が立つとww

>なんか最近、暗い話が多いよな\x{ff5e}まぁ楽しくやりましょうよ!!!
だね~。方法論が違ってもみんなが最終的に目指してる地点は同じだと思うから、良い方向に転べばいいね☆

>名無しのJACK
伝わってよかったです。

自分の日記にも書いたけど、今回の意見に関しては全く同意見よ。
30代が心に余裕も出てきて、一番の遊び時だと思ってたのに、遊び場所のメインがなくなることに、ショックを受けてます・・。

朝方フランソワ行ったけどやっぱ凄かった。

ん~寂しいね。。。


>まっちゃん
よくよく考えたら、10年以上通ってる場所なんて他にないわけでショックはデカイよね。

>401
自分もいたよ~。それっぽい人を一瞬みかけたような気がしたけど、やっぱそうだったか。

同意しまくりのエントリでした

>王道があって初めてカウンターは成立しやす。

確かに。

>Yellowのブースは神聖な場所で

僕も最初立った時に凄い緊張したのを覚えてます。

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